今井優輔  加藤未央 
2015年04月05日

政治家×フットボールという異色の挑戦
松本市議会議員を目指す今井優輔の物語④
「世界70億人の一人として、自分にしかできない生き方を」

政界においては“弱冠”と言ってもいいはずだ。26歳の若者が、長野県松本市の市政に挑戦している。幼少期にサッカーと出会い、学生時代に技術と精神面を養った。夢を追い、そして挫折した。その経験を経て、這い上がる力を得たのだろう。今井優輔という男は、未来のフットボールと政界の架け橋になるかもしれない。これはまだ見ぬストーリーの序章だろうか。彼の異例ともいえるチャレンジを、そして彼のルーツを探っていく。

text by Mio KATO
photo by Yoshinobu HONDA

文=加藤未央

 政治って、やっぱり難しい。市議ってやっぱりよく分からない。それでも彼は、編集長も私も「よく分からない」道へと突き進んでいる。「政治とフットボール」という一見ミスマッチな響きを頭の中に残しながら、なんだかそのすごい掛け合わせに挑む今井さんにROOTSは触れた。それは紛れもなくフットボールの一つの側面であって、彼の活動がいずれ“フットボール王国・松本”というカルチャーに育ったら、それは本当に素晴らしいことだと思う。最後に今井さんのもっと素の部分に迫ろうとしたものの、冒頭から気になって仕方なかった「2025年からの大不況」についても聞いてみた。

「今井優輔」になることが人生のゴール

加藤 自分の一番良いところってどこだと思いますか?
今井 行動力があるところです。思ったら絶対にすぐやる。自分に嘘を付かない生き方をしています。子どものように本能で生きているというか(笑)。大人になっていくにつれて周りのことを考えたりするものですが、良い意味でそれがないです。
加藤 たしかに今日お話しを聞いてて、行動力の塊のような方だと思いました。普段、人がセーブするようなことをやる人だと。その違いは大きいかもしれないですね。
本田 それに人生設計をすごく考えられているように感じましたが、もう自分の人生のゴールを決めていたりしますか?
今井 恥ずかしいんですけど、それこそ「今井優輔」になりたいです。世界の人口が70億人に達している中で、その一人として他の人がやったことのない自分の生き方をしたいです。しっかりと、影響されずに。

道草をくわない、よけいなことをしない

加藤 ちょっと脈略のない質問かもしれないですが、好きな本とかありますか? この本は何回でも読み返してしまうというような。
今井 ないですね。本は最後まで読まないんです。パッと見て何か学べるものがあったら閉じちゃいます。自分が今足りないと感じているものを解決できそうな本を読んで、何か手掛かりを見付けたら閉じます。集中力がないんです(笑)。
加藤 あまり道草をくわないタイプですか? よけいなことをしないタイプというか。
今井 しないです。
加藤 私とは真逆ですね。私は「1」を知りたいと思ったら「10」を一つひとつ見た上で「1」を知ろうとするんですが、今井さんは「1」を知りたいと思ったら「1」だけをみるタイプなんですね。
今井 そうですね。
本田 あっちこっちからすみません(苦笑)、ちなみに海外で仕事される時は英語を話すんですか?
今井 いえ、英語を話せないので、仕事の時は通訳を連れて行ったり、現地で人を雇ったりしています。あとはジェスチャーとか感情を乗せてコミュニケーションを取ると、なんとか伝わるんですよね。
加藤 またまた質問攻めですが、ちなみに2025年から大不況が起こると言っていましたが、それはなぜなんですか?
今井 直感ですね。数字にも出ていますし。自分が日本一周をして国内を端から端まで見てきた中でそう思いましたね。
加藤 ではこの先、私たちは何をすればいいですか?
今井 現在、人間よりもロボットの方が優れている、重宝される時代がやってきています。人間は仕事でミスをするけれど、ロボットはそれがありませんからね。想像すると怖いですが、10年後とかにすべてをロボットに代わられてしまうのは実際にありえる話です。それだけではなく、日本は労働力不足なのでアジアから出稼ぎに来る人がものすごく多いですが、雇用側からすれば見た目が日本人に近くて日本語以外の言葉も話せて、しかも最低賃金で働いてくれる外国人は魅力なんです。つまり、5年後、10年後に日本人の居場所がなくなるということにつながるんです。日本人がしっかり働ける環境を築いていくことが大事だと思っています。

 取材後、「しゃべるのがヘタですが、今回のインタビューは自分をすごく引き出してもらえて嬉しかったです」と、席を立ちながら笑顔でお礼を言う今井さんを見ながら、そもそも政治のことなんて分からない編集長と私は安堵していた。ちんぷんかんぷんな質問をぶつけて今井さんの本意ではないインタビューになってしまったらどうしようという不安があったからだ。

 この記事を通じて、今井優輔という人物に興味を抱く方が一人でも多くいてくれたら、それは願ってもない。彼の「行動力」が結実するかどうかは、もちろん分からない。ただ一つだけ間違いないのは、彼はこの先も自分が信じた道を一直線に突き進んでいくのだろうということ。私自身が感じた彼の本質は、私の心の中にとどめておこうと思う。仮にまた出会うチャンスがあれば、また質問攻めをしてしまうに違いない。少しだけ政治を身近に感じられた時間を終えて、ジャストサイズのスーツを身に纏った若き挑戦者は、自分の進むべき方向へと歩んで行った。

今井優輔(いまい・ゆうすけ)
1988年5月19日生まれ、長野県松本市出身。小学1年生の時にサッカーを始め、高校では静岡県の名門・清水商業高校に進学するも、高校でサッカーを断念。しかしサッカー選手を支援するという新たな夢を抱き、大学在学中に起業して法人を設立。卒業後は世界30カ国、日本全国47都道府県を視察で巡った。2014年には出資者、COプロデューサーとして映画を製作し、同年に大阪市議会議員秘書に就任し政治家秘書として現場で研鑽を積むなど異色の経歴を持つ。現在は、「ふるさとの未来」に大きな不安や危機感を覚え、地元の松本で市政に挑戦している。195センチの長身で、田中隼磨(松本山雅FC)はジュニアチーム時代の先輩にあたる。株式会社トラオムジャパン代表取締役社長、NPO法人セダックサッカースクール理事長。





加藤未央(かとう・みお)

1984年1月19日生まれ、神奈川県出身。 2001年に「ミスマガジン」でグランプリを獲得し、05年には芸能人女子フットサルチームにも所属。07年から09年まで「スーパーサッカー」(TBS)、09年から15年まで「スカパー!」 のサッカー情報番組「UEFA Champions League Highlight」のアシスタントを務め、Jリーグや海外サッカーへの知識を深めた。現在は、ラジオ番組「宮澤ミシェル・サッカー倶楽部」などにも出演し、フットサル専門誌「フットサルナビ」でも連載中。15年4月からオフィシャルブログ「みお線」もスタートした。http://ameblo.jp/mio-ka10/

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