eyeron  ソナーポケット  狂犬ライター  菊池康平 
2015年03月24日

ソナーポケットeyeron×
狂犬ライター・菊池のフットボール談義
「eyeronのルーツは一人っ子だったこと」(後編)

フットボール好きとして知られるソナーポケットのeyeron(アイロン)と、その蹴り仲間でもあり自身も破天荒なフットボール人生を歩む狂犬ライター菊池康平によるフットボール対談をお届けする。前編に続き、今回もeyeronのさらなるフットボール愛が語られているが、特筆すべきはその向上心。「一人っ子だったことがルーツ」と語るeyeronの“サッカー人生”はこの先、どんな道筋を描いていくのだろうか。

text by Kohei KIKUCHI

文=菊池康平

ミスチルの桜井さんに近付いている

菊池 2014年の大きなトピックスはフルコートのサッカーを始めたたこともありますよね。以前、サッカー雑誌の対談の時はフルコートはまだ早いかなと言っていたけれど、実際にスパイク履いてのサッカーはどうでした?
eyeron 相当久しぶりにフルコートをやりましたよ。2014年5月に国立競技場で蹴ったのが数年ぶりのフルコートだったかな。フルコートはフルコートで全然違うなっていうのはありますね。自分の筋力のなさとかに気付きます。
菊池 フルコートをやったからこそわかった新たな気付きですね。
eyeron そうですね。もっと体幹を鍛えないといけないとか。もうもはや球蹴りは遊びじゃないからね(笑)。遊び以上のもの。サッカーに対する思いがミスチルの桜井(和寿)さんに近付いてきてるかも。やはり音楽で少しずつ結果を出していくと、苦労したり悩んだりするし、今も確かに悩みはあるかもしれないけど、昔みたいな悩みは少しずつなくなっている。でもサッカーでこうやって悩んだりとか、人生って面白いなって思います。どこにいっても何をやるにしても、すごく悩んで成長していくんですね。
菊池 確かに向上心があればあるほど悩みも増えてきますよね。
eyeron でもね、球蹴りを再開してからはライブにも良い影響が出ていますよ。2014年11月の大阪城ホールのライブはいつもより走れる体になっているなと感じたし、アジリティーの強さも出てきたかな。
菊池 いつもライブを見ていると、走って歌ってバク宙したりすごい体力を使ってるなと感じます。本当に球蹴りの成果が生きていますね。
eyeron それはアーティストとしてもサッカーを通して絶対に成長できている部分だと思います。それが強みになっているし、進化している。ソナーポケットのeyeronがさらに一歩先に行くためにフットボールがあるんだと思う。
菊池 サッカーと音楽ですごく良い相乗効果がありますね。
eyeron ソナポケのライブはかなり動き回ってライブ感があると思うから特にね。
菊池 見ていていつもすごい体力だなって思います。そんな中、ライブ後に大阪でフットサルをやったのは改めてすごいですね!
eyeron もはや変人的なね(笑)。

何か一つのものに辿り着きたい

菊池 ところで、音楽をやっている人ってすごくサッカー好きが多いですけどなぜだと思いますか?
eyeron なぜか俺らの周りは多いですよね。
菊池 何か共通点とかがあるんですか?
eyeron これは絶対に分かる。やっぱり音楽もそうだけど、何か一つのものに辿り着きたいんじゃないですかね。
菊池 ストイックな感じですよね?
eyeron そうストイックに突き詰めていく感じ。
菊池 ものすごい向上心があるなと思います。寒い中でもみんな集まってくるし。
eyeron VICTORAILっていうチームで一緒にやっているレミオロメンの藤巻(亮太)さんとか相当ストイックですよね。そういう先輩たちの背中を見ているからこそ、どんどんやっていく人が増えているんじゃないですかね。それはライブの達成感と似ている部分もありますよ。ライブとかずっと製作をしていたりすると凝り固まってしまうものも、サッカーを通してまたリフレッシュしていくみたいな。それでうまく回っていくからこそ音楽もサッカーも両軸でやっている先輩が多いんじゃないですかね。
菊池 サッカーをやっていると個人的には仕事とか嫌なことも一時的に忘れられる瞬間があるけどeyeronくんはどうですか?
eyeron それはありますね。しかもサッカーは1人でやるものじゃないから、みんなで一つの場所に集まって一つのことをやるのもライブと一緒で、ファンの気持ちと似ているかも。みんなで作り上げる感じがいいんですよ。
菊池 サッカーで、ボールをみんなで繋いでゴールするみたいな感じですね。
eyeron ファンの方々も仕事やバイトや学校とかがあって、もしかしたらストレスを溜めているかもしれないけど、ライブの時だけはそういうものを全部忘れられる。それは絶対にフットボールも同じだと思う。
菊池 そういえば、eyeronくんは出会った時から攻めのポジションですよね。昔はボランチだったのになぜ今は前目のポジションをしているんですか?
eyeron やっぱり俺が点取らないとチームが盛り上がらないでしょう!
菊池 なるほど(笑)! 自分のチームだし、キャプテンとしての責任感もありますもんね。
eyeron それを一番感じています。俺が取らないとって。
菊池 国立競技場でアーティストの方とサッカーしたメンバーリストを見返すと、見事に攻めのポジションの人ばかりですよね(笑)。アーティストはやっぱり攻めたいのかな?
eyeron アーティストはみんな自分が点を取らないと始まらないっていう気持ちでやっていると思いますよ。
菊池 なんだか海外の選手っぽいですね。自分が打開してやろうという気質があるというか。
eyeron 確かにそれはありますよね。職業病なのかな。確かに周りのミュージシャンでDFはいないんですよね。
菊池 今まで一緒にプレーしてきたアーティストの方を思い浮かべても誰一人いない(笑)。それは俳優さんも同じですね。
eyeron ゴリゴリ点を取りに行くタイプしかいないですよね。藤巻さんとかはまさにそう。アーティストサッカーあるあるですね。やっぱり自分のチームを持っている人は自分が点を取らないとチームが盛り上がらないから前にいくんじゃないですかね。ドラゴンアッシュのBOTSさんも湘南乃風のHAN-KUNも前のポジションだし。

前への飛び出しに注目

菊池 では今後のサッカー人生について教えてください。って、日本代表選手にインタビューしているみたい(笑)。
eyeron はは(笑)。うまくなりたいっていうこの気持ちを持ち続けたいですね。それに対して自分が納得するまでやりたい。歳を取ってもやれるプレースタイルでもあると思うし。
菊池 最近すごく気になっているのがeyeronくんの車中にあるサッカーグッズが日に日に増えている気がするんですよね(笑)。自主練用のコーンとか。そういえばラダーも買ったんでしたっけ?
eyeron ラダーも購入済みです! それに今、一番欲しいのが体に巻く10キロの重りです。その重りを付けてラダーをやろうと考えています。
菊池 は、半端ないっす! 今、最も鍛えたいのがアジリティーでしたよね?
eyeron そうなんです。重りを買ったらライブ前にそれを付けてトレーニングしたいな。それで重りを取ってライブに臨んだらとんでもない動きが見せれる気がします。
菊池 まさに羽が生えたように走れそう。さらに進化したeyeronになりますね!
eyeron そう考えるとサッカーやフットサルはソナーポケットのeyeronから切り離せないものかもしれないですね。ソナポケのマネージャーも一緒に蹴れるから、それも好都合で。
菊池 本当にeyeronくんは楽しみながら蹴っていますからね。それはライブでも同じなんですよね。
eyeron ソナポケのライブのテーマに「笑顔の連鎖」があって、ステージ上で俺らが笑顔でいることで、会場に集まってくれた一人ひとりに笑顔が連鎖する。サッカーやフットサルの苦しい局面でも、みんなで楽しんでやれたらそれが一番いいかな。そういうチームでありたい。
菊池 では最後にサッカー選手eyeronからファンへメッセージをお願いします(笑)。見てほしいプレーとかはありますか?
eyeron う〜ん……前への飛び出し!!
菊池 昔の森島寛晃(元セレッソ大阪)のような!
eyeron そう、ライブのポジションも同じで、隙あらば行く! それと気持ちの込もったプレーかな。ソナポケの自己紹介でも「飾らないでいく」と言っているんですけど、そうやってまっすぐに気持ちを見せていきたいです。
菊池 今のサッカーのプレースタイルと一緒ですね。そうそう、最後と言っておきながら一つだけ聞きたかったんですけど、eyeronくんから見て僕ってどんな感じですか……?
eyeron ははは、絶対だいぶ年上かと思いましたね(笑)。でも、康平くんが海外に行っている時はフットサルの集まりが悪かったりするし、いろんな有名人を束ねられる人ってなかなかいないと思うし、人を引っ張れる人だと思うな。それが菊池康平の魅力だと思う。それに俺らともすごく対等で、同じ目線で接してくれます。プレーに対してもしっかり入ってくれるし、そういうことってすごく大事だと思います。俺も信頼しているからこそ意見を聞きたかったりするし、そうやって思わせてくれる人はそうそういないですよ。
菊池 なんだか照れますね。ありがとうございます(笑)。
eyeron 本当に最初は、でかいし、なんか仕切ってるし、なんかよく分からないけどすごい人なんだろうなって思って。そうしたら実際、会社を辞めて海外に挑戦したり、犬に襲われたり、伝説のエピソードをいろいろ残している人だった。とにかく面白い人ですよね。やっぱり歳を取ってくると同世代でそういうことをする人は少ないけど、逆に俺にも夢を与えてくれる。まだまだできるぞって。康平くんの姿を見ることで、俺も音楽を通してビビらずにいろんな挑戦をできるんじゃないかって思うし、そういうパワーを与えてくれる存在ですよ。ソウルメイトって感じですね。
菊池 褒められすぎて恥ずかしい(笑)。みんな、海外で何かに噛まれて病気になってる男だと思ってますよ(笑)。
eyeron そこがまたキャラ的にも面白いから! あとやっぱりプレーもすごい。DFをしてくれて安定するし、動きは全然違いますよ。いい感覚を持っていると思いますし、残り時間が少なくなると絶対に仕掛けてきて、しっかり点を取ったりするから、後ろの選手なのにセンスがあるなって思いながら見てます。
菊池 ありがとうございます(笑)。その意味では、チームとしはeyeronくんがいないと始まらないですよね。いることで士気が高まるし、カリスマ性がある。それだけ大きな存在なんです。それにプレーヤーとしても、シンガポールから帰ってきて前の意識と気持ちが溢れるプレーをしますし、必ずシュートを打つからすごく怖い選手になった。めちゃくちゃ動くし体力もあるし、声も一番出していて、ベンチにいる時でも立って声を張り上げてくれています。
eyeron 夜な夜なアジリティーのトレーニングしている成果が出たかな。
菊池 そういうの、もはやアーティストの発言ではないですね(笑)。そんなフットボールと音楽を愛するeyeronくんのルーツってなんなんですかね。すごく気になります。
eyeron うーん、深い質問ですね。でもたぶん、一人っ子だったことかな。親が共働きだったので、ずっとおばあちゃんに育てられていた記憶があります。それで一人っ子だったからこそ、自分で挑戦していかないと始まらないって。おばあちゃんは厳しい人で、勉強ができなかったら自分で努力して頑張らなければできないよとか、運動会で負けても同じように声を掛けてくれる人でしたから。そうやって言われて育ったことがルーツかもしれませんね。
菊池 なるほど。それは興味深いですね。今日は本当にありがとうございました! ではまた明後日(笑)!
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eyeron(アイロン)
11月3日生まれ、愛知県出身。ソナーポケットのヴォーカルとして、魂の込もった歌声で聴く者の心を動かす。フットボール好きとしても知られ、自身が立ち上げたFC PROMISEでもプレーする。2015年2月25日に、約2年ぶり5枚目のオリジナルアルバム「ソナポケイズム⑤ ~笑顔の理由。~」をリリース。5月からは、ソナポケ史上最大規模となる全国ツアー「ソナポケイズム Vol.5」を開催。詳しくはオフィシャルHPをチェック!
http://www.sonapoke.jp/





菊池康平(きくち・こうへい)

1982年7月27日生まれ、兵庫県出身。プロサッカー選手を目指して学生時代と会社員時代の夏期休暇などを利用し12カ国に挑戦。会社を1年休んで挑んだ13カ国目のボリビアでプロ契約を果たす。飛び込みで現地のチームと交渉し、テストを受ける道場破りスタイルを得意とする。2014年6月に再度プロ選手になるため、9年間勤めた会社を辞めて海外へ渡るも、ラオスで犬に襲われ緊急帰国。その後もインドで何かに噛まれて入院し、またも志半ばで帰国。日本ではアーティストの友人たちと結成した「危険なカオリ」というフットサルチームの幹事を務める。

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