フウガドールすみだ  須賀語録  須賀雄大 
2015年08月24日

フットサルで日本一を経験した監督直伝
選手の心に響き実行を促す「須賀語録」が秀逸
#06 『まずは疑え。そして信じろ』

フウガドールすみだは地域リーグで戦っていた2009年、フットサル日本一を決める全日本選手権大会で地域勢として初めて頂点に輝いた(当時はFUGA MEGUROの名称)。Fリーグ勢を打ち破った“フウガ旋風”はもはや伝説でありフットサ界の語り草となっている。それを成し遂げた背景には、須賀雄大監督の手腕が大きく影響している。彼が放つ数々の言葉は選手の心に響き、そして迷いがなくなった選手たちはピッチ上で最大限の力を発揮する。「須賀語録」と呼ばれる“魔法の言葉”を紹介する本企画の第6回目は、「まずは疑え。そして信じろ」。自分のなかで納得して受け入れられた時こそ、100パーセントのプレーができるのだ。

Organization by Yoshinobu HONDA, Tsukasa YAMAGISHI
Photo by Yoshinobu HONDA

文=本田好伸

監督の言葉を疑うくらいのふてぶてしさが大事

 物分りが良すぎる選手が多いと感じた時期に、選手にこの言葉を伝えました。フウガの場合、太見(寿人)選手はだいたいいつも斜めから物事を見る傾向があり、僕が話したことをいきなり受け入れることはありません。ただし、自分のなかでその言葉に納得して手応えを感じると、そこに向かって誰よりも全力でプレーします。

 僕は、言われたことをただこなすだけではなく、選手は自分自身で咀嚼する時間が必要だと思っています。自分のなかで噛み砕いて納得できないまま僕が伝えた指示を信じてしまうと、上手くいかなかった時に監督に言い返してしまうことがあります。それでも、実行したのは選手自身です。選手たちには、自分で咀嚼して納得できた上で、100パーセント全力で信じてプレーしてほしいと思っています。

 物分かりが悪くて上手くいかないのであれば、それはまだスキルが足りなかったということであり、修正していく余地は十分にあります。今は物分りが良すぎる若い選手が多いので、最初は監督の言葉を疑ってかかるくらいのふてぶてしさがあってもいいのかなと思います。

 監督に対しても自分に対しても、まずは疑ってみることは悪いことではないですし、その上で大切なのは、新しい戦術やチームのやり方をしっかりと自分のなかで受け入れてから、今度はそれを信じてプレーしていくことです。

須賀雄大(すが・たけひろ)
1982年6月30日生まれ、東京都出身。フウガドールすみだ監督。小中高と暁星学園でサッカーを続け、高校でサッカー部引退と機に、フットサルチーム「森のくまさん」を結成。サッカー元日本代表の前田遼一は高校時代の1学年上の先輩。北原亘(名古屋オーシャンズ)、稲葉洸太郎(フウガドールすみだ)といったフットサル日本代表経験者は同期だった。05年に選手を引退し、BOTSWANA FC MEGUROの監督に就任。以降の関東リーグ3連覇、地域チャンピオンズリーグ4連覇、09年の全日本選手権制覇など数々のタイトルを獲得した。明確なビジョンとそれを伝える言論術を兼備し、クラブのFリーグ制覇、アジア制覇を目論む若きモチベーター。オフィシャルブログ:http://www.doctor-kc.com





本田好伸(ほんだ・よしのぶ)

1984年10月31日生まれ、山梨県出身。 日本ジャーナリスト専門学校卒業後、編集プロダクション、フットサル専門誌を経て、2011年からフリーランスに転身。エディター兼ライター、カメラマンとしてフットサル、サッカーを中心に活動する。某先輩ライターから授かった“チャラ・ライター”の通り名を返上し、“書けるイクメン”を目指して日々誠実に精進を重ねる。著書に「30分で勝てるフットサルチームを作ってください」(ガイドワークス)

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